理想の一脚
レビュー対象商品:ロゼ シーエム131 チェア
投稿者:KAGUHAスタッフM
投稿日時:2020/06/01 12:19:14
さぁダイニングチェアを買い替えようと決めた時、いくつかの制約を持って選ばなければなりませんでした。一つ目は、ダイニングテーブルが少し珍しいアカシア材であるため木肌やトーンが近いものか、全くの異素材であること。二つ目は、同じくダイニングテーブルの脚部がアイアンの黒であるため木部と同様に黒で統一するか全くの異素材であること。(デザイン的に言えば先細りする円柱の脚部がベストですが、そこまで揃い過ぎていなくても良いかなと思い条件から外しました)そして脚の開きは垂直でなくやや開いているものが調和が取りやすく良いなと、珍しく感覚に頼らず理詰めの選び方をしました。
ダイニングで仕事をすることも多いので、座り心地が良く長時間の着座に耐えられること。我儘を言えるのならば、椅子を引く際に片手で動かせるくらいの重量であったら満点で、もしダイニングを買い替えた際もチェア単品で使う事ができるもの(それは再度ダイニングで使うという意味でも、デスクなどの新しい場所に設置できたら良いなという願望でもあります)という複雑怪奇な条件で探し始めると、当然マッチする商品は多くなく、いっそダイニングセットこと買い替えてしまったほうがどれだけ簡単かとくじけそうになりました。
最初の候補であったマルニ木工のヒロシマはデザインのテイストが合わず、カールハンセンのYチェアはどうせ買うならビーチのソープで欲しいと断念。異素材ではカルテルのマスターズの黒、マジスの鏡面仕上げのデジャ・ビュ、カリガリスのパリジェンヌとサントロペなど真剣に検討を重ねました。理想に近いところでは、FRP素材で復刻したシェルチェアを黒脚で本国オーダーしようかとも考えましたが、ひねくれた性格もあって定番であることの弊害や常に身の回りにシェルチェアがある環境だったため、今更また購入するのは人生の経験値としてどうかな…と考えてしまい、遂に見つけたのがこのCM131チェアです。
他の候補からもお分かりいただける通り、私は基本的に椅子は板座タイプが好きで、理由としてはメンテナンスが楽なこと、長年に渡って利用する際に布張りのチェアはどうしても劣化すること(張替もまた楽しみの一つなのだと思いますが)、なんと言っても飲み物を溢しても大丈夫だという安心感は他に代えがたいものがあります。笑
初めてCM131を見たのはリーン・ロゼの展示会で、見た瞬間に美しく合理的だと一目惚れ、復刻までの経緯や製造方法などの説明を伺ってより感銘を受けました。それからは日本へ輸入されてくることを待ちわびる日々。待つ間は「逆にソファに近いカランチェアなども良いのではないか・・・」等の様々な誘惑と戦いながらも、やはりCM131以上の椅子が見つからず遂に手に入れることができました。
背面から側部にかけてのスチール部が美しい肘付きタイプにするかも悩みましたが、重さと出入りのしやすさ、座面高が肘有のほうが1cm高いことを理由に肘なしに決定! 流れるような木目と美しい塗装によって、空間に落ち着きを与えてくれます。見る人が見ないとあまりにもシンプルで地味な椅子ではありますが、本当に大満足。実際に使って分かるモノの良さを噛みしめています。